睡眠時無呼吸症候群と歯の関係とは？歯科治療で改善できるのか徹底解説
こんにちは！
京都市上京区 鞍馬口駅すぐの歯科医院 鞍馬口かわはら歯科クリニックの院長 川原です。
今回は睡眠時無呼吸症候群についてお伝えいたします。
「朝起きたときに口が乾く」
「寝ても疲れが取れない」
「家族にいびきを指摘された」
これらの症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。
実は、歯並びや噛み合わせ、口の筋肉の状態が睡眠時無呼吸症候群に深く関係していることをご存じでしょうか？
この記事では、歯と睡眠時無呼吸症候群の関係、歯科治療による改善方法、マウスピースの効果などを詳しく解説します。
1. 睡眠時無呼吸症候群とは？
睡眠時無呼吸症候群（SAS: Sleep Apnea Syndrome）とは、睡眠中に呼吸が一時的に停止する病気です。
10秒以上の無呼吸が1時間に5回以上発生する場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
主な症状
- 大きないびき：呼吸の通り道（気道）が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
- 日中の眠気や倦怠感：酸素不足により深い睡眠がとれず、日中の眠気が強くなります。
- 口の渇きや喉の痛み：口呼吸が多くなるため、朝起きたときに口の乾燥や喉の違和感が生じることがあります。
- 集中力の低下・記憶力の低下：睡眠の質が悪くなることで脳の働きが鈍くなります。
- 高血圧・心疾患のリスク増加：慢性的な酸素不足により、心臓や血管に負担がかかります。
2. 歯と睡眠時無呼吸症候群の関係
歯並びや噛み合わせ、顎の状態が睡眠時無呼吸症候群の原因となることがあります。
2-1. 下顎が後退している（顎が小さい）
顎が小さい、または後退していると、舌の位置が後ろに下がりやすくなり、気道を圧迫することで無呼吸のリスクが高まります。
特に日本人は欧米人と比べて顎が小さい傾向があり、無呼吸症候群のリスクが高いとされています。
2-2. 口呼吸の習慣がある
口呼吸が多いと、舌の筋肉が衰え、舌が気道を塞ぎやすくなります。
歯並びや顎の発達にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、口呼吸の習慣があると口腔内が乾燥しやすく、虫歯や歯周病のリスクも増加します。
2-3. 歯並びが悪い（上顎前突・開咬）
出っ歯（上顎前突）や開咬（上下の前歯がかみ合わない状態）などの噛み合わせの問題があると、口が自然に開きやすくなり、無呼吸になりやすいです。
特に、小さい頃からの習慣（指しゃぶり、口呼吸など）が関係することが多く、早期の矯正治療が有効です。
2-4. 舌の大きさが関係する
舌が大きい、または舌の位置が低い人は、睡眠中に舌が気道を塞ぎやすくなります。
特に肥満の方は舌の厚みが増すことで無呼吸のリスクが高まります。
2-5. 歯ぎしりや食いしばりの影響
歯ぎしりや食いしばりが強いと、顎の筋肉が過剰に緊張し、気道が狭くなる可能性があります。
また、食いしばることで舌の位置が後方に移動し、結果的に無呼吸を引き起こすことがあります。
さらに、歯ぎしりが続くと歯の摩耗や破損のリスクも高くなります。
3. 歯科治療による睡眠時無呼吸症候群の改善方法
睡眠時無呼吸症候群の治療は、医科だけでなく歯科領域でも可能です。
歯科医院では以下のような治療方法が行われます。
3-1. マウスピース（口腔内装置：OA）による治療
睡眠時無呼吸症候群の軽度～中等度の患者には、マウスピース治療（口腔内装置）が有効です。
下顎を前方に保持するマウスピースを装着することで、気道を広げる効果があります。
医科(主に呼吸器内科)からの診断・紹介状があれば、保険適用での対応も可能となります。
マウスピース治療のメリット
- 手術不要で簡単に試せる
- 持ち運びができるため、旅行先でも使用可能
- CPAP（持続陽圧呼吸療法）よりも違和感が少ない
マウスピース治療のデメリット
- 顎関節症のある人には不向き
- 下顎を前に出すため、顎に違和感が生じることがある
- 効果が出るまでに時間がかかる場合がある
3-2. 歯列矯正による改善
歯並びや噛み合わせを改善することで、無呼吸症候群のリスクを減らすことができます。
特に、拡大矯正（顎の幅を広げる矯正）やインビザライン（透明なマウスピース矯正）が効果的な場合があります。
3-3. 口腔筋機能療法（MFT）
口の周りや舌の筋肉を鍛えることで、気道の開きをサポートします。
口呼吸を鼻呼吸に改善するトレーニングも有効です。
3-4. 噛み合わせの調整
詰め物や被せ物を調整することで、顎の位置を正しくし、呼吸をしやすくすることができることがあります。
4. よくある質問
Q. マウスピースとCPAP、どちらが効果的？
CPAPは中等度以上の重症患者に適しており、マウスピースは軽度～中等度の患者に推奨されます。
症状の程度によって使い分けが必要です。
Q. 口呼吸を改善すると無呼吸は治る？
口呼吸が原因で無呼吸になっている場合、鼻呼吸を習慣化することで症状が軽減する可能性があります。
口腔筋機能療法（MFT）や矯正治療が有効です。
Q. 子どもの無呼吸症候群も歯科治療で改善できる？
はい、子どもの場合、顎の発育や歯並びの矯正によって気道が広がり、無呼吸症候群が改善することがあります。
Q. 睡眠時無呼吸症候群は放置するとどうなる？
放置すると、高血圧、心疾患、脳卒中のリスクが上がるため、早めの治療が必要です。
5. まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、歯並びや噛み合わせ、顎の状態が深く関係しています。
軽度～中等度の症状であれば、歯科医院でのマウスピース治療や歯列矯正、口腔筋機能療法などで改善が可能です。
症状が気になる方は、医科と歯科の両方で相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご相談だけでも、ご遠慮なくご連絡ください。